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下肢静脈瘤治療後も続く、なかなか治らない足の症状

[2024.09.05]

前のブログ記事にて、おいそれと潰しにいけない静脈逆流「深部静脈弁不全」のことを書きました。同様に、潰しにいけない場所にある静脈拡張やうっ滞に出会うことがあります。表面にある静脈瘤はいくらでも潰せるのですが、筋肉の中にある静脈うっ滞はそうはいきません。下の写真に示しますが、エコーにて通常黒く見える血管が白くモヤモヤしております。腓腹筋というふくらはぎの筋肉内の静脈うっ滞に加えて、深部静脈もモヤモヤしているのが分かります。このような所見は下肢静脈瘤治療をこれから受ける方にも、受けた後の方にも見ます。さらに、歩行量が落ちて筋肉量が少ない高齢者にもありますし、逆に筋トレをしっかりしているマッチョな若年者に見ることもあります。

この所見を見たら、患者さんのふくらはぎを軽くマッサージしてあげます。すると次の写真のように、モヤモヤした静脈うっ滞が解消され元の血管像として黒く見えます。場所によっては7㎜ほど大きく拡張しています(正常の静脈サイズは2~3㎜)。この中に静脈血液が溜まることで、足の負担になっていると考えられます。

ただ、一時的にはうっ滞は解消されるのですが、すぐにモヤモヤしてきます。このような静脈うっ滞は足のむくみ、だるさ、疲れやすさ、こむら返りの原因となります。うっ滞している場所は血栓ができやすいので、深部静脈血栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)の原因にもなります。深部静脈弁不全と同様、弾性ストッキングやフットケアをしながら、地道にお付き合いしていくしかありません。

本日、2年前に他院で下肢静脈瘤治療を受けたが、なかなか足のむくみがとれないと悩んでいる方にお会いしました。この2年間、「漢方薬を飲んでおいて」と言われるばかりで、なかなか先に進めなかったようです。エコーをあててみますと、以前にレーザー治療された太ももの静脈瘤は、きれいに潰されているのですが、膝下に多くの静脈瘤が残っていました。さらに、筋肉内の静脈うっ滞(モヤモヤ像)も多数認めました。硬化療法で潰せる静脈瘤は治療していき、潰せない筋肉内静脈うっ滞はフットケアをと、お勧めしました。乾燥もひどく、保湿やフットマッサージもむくみのコントロールにとって大切と思われました。足のむくみに心臓疾患が隠れていることもありますので、どこかのタイミングで心臓エコー検査もお勧めする予定です。他院で治療後でのお悩みもご相談いただけたらと思います。

R4年からの町田での下肢静脈瘤診療実績ですが、グルー治療199例、ラジオ波焼灼治療84例、抜去切除術17例に達しております。引き続き、安全に配慮し、お一人お一人に向き合っていけたらと思います。

 

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