メニュー

おいそれと潰しにいけない静脈逆流 「深部静脈弁逆流」

[2024.08.18]

下肢静脈瘤の治療では、逆流して正しく機能していない静脈をつぶしてしまいます。ラジオ波(レーザー)治療では熱で静脈を焼き潰しますし、グルー治療では静脈の内側を接着剤で詰めて潰してしまいます。硬化療法も同じく、硬化剤で静脈の中を固めてつぶします。

よく患者様から質問されます。「血管をつぶしてしまって大丈夫なのですか?」と。静脈は多くのネットワークがあり、機能していない静脈をつぶしても、正しい静脈が代わりに機能してくれるので大丈夫なのです。

下肢静脈瘤治療で治療対象になるのは、表面系の静脈(表在静脈)、体表の静脈です。日々の診療で、表在静脈の逆流をエコー検査でチェックしていると、時々深部静脈の逆流に出会います。下に示した写真ですが、四角に囲まれた深部静脈に強い乱流と逆流を認めています。エコーにおいて、赤と青は逆向きの血流を意味していて、それが入り乱れています。ちなみに、青い矢印の先にある黒の丸い部分が表在静脈である小伏在静脈です。

深部静脈弁逆流ですが、正式には深部静脈弁不全といいます。これはなかなか厄介です。深部静脈の逆流はおいそれと潰しにいけないのです。下肢静脈瘤(表在静脈逆流)はそれを潰すことで症状を楽にすることができるのですが、深部静脈はたとえ逆流があっても、その逆流とお付き合いしながら、深部静脈は温存していかなければなりません。弾性ストッキングの着用や下肢挙上など日々のフットケアの積み重ねが大切になってきます。深部静脈血栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)の予防も人一倍気をつけたいところです。

「他院で下肢静脈瘤はないと言われた、だけど下肢静脈瘤によくある症状がなかなか治らない」という患者様にお会いすることがあります。フットケアは地道な作業にはなりますが少しでも継続できるよう、様々なアイデアもありますのでご相談ください。

 

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME